ハローワークの支援強化で、介護・福祉業界の人材不足は変わるのでしょうか?

厚生労働省は、医療・介護・保育分野の人材確保を目的として、全国544か所すべてのハローワークで病院や介護施設への訪問支援を本格化させる方針を示しました。

求人開拓や求人票の作成支援、急募求人への対応などを強化し、人材不足の解消を目指す取り組みです。

介護・福祉業界では慢性的な人材不足が続いていますが、その背景には「人が集まらない」だけではなく、採用にかかるコストという大きな課題があります。

採用には想像以上の費用がかかる

介護・福祉業界では、人材紹介会社や求人広告を利用して採用活動を行う事業所も多くあります。

市場では、人材紹介会社の紹介料は想定年収の15〜30%程度で契約されるケースが一般的です。

例えば、

年収400万円の介護福祉士を紹介会社経由で採用

紹介料30%

この場合、約120万円の紹介料が発生します。

また、

年収120万円のパートヘルパー

紹介料15%

でも、約18万円の採用コストが必要になることがあります。

もちろん、紹介会社を利用することで希望する人材と出会えるメリットもありますが、採用コストは決して小さくありません。

求人広告も決して安くはない

「求人広告なら紹介料はかからない」と思われるかもしれません。

しかし求人媒体への掲載にも費用がかかります。

掲載プランにもよりますが、クリック課金型や検索上位表示などを利用すると、

月10〜15万円程度

の広告費が必要になるケースもあります。

さらに、

応募が来る保証はない

希望する人材から応募がある保証もない

という課題もあります。

近年はコンプライアンスの観点から、年齢や性別などを限定した求人募集も難しくなっており、広告費をかけても思うような採用につながらないことも少なくありません。

採用コストが人材確保に影響することも

介護・福祉業界では、

採用したい人材でも、採用コストを理由に見送られるケースがある

と言われています。

事業所の規模や経営状況によっては、高額な紹介料や広告費の負担が難しい場合もあります。

結果として、

採用に十分な予算を確保できる法人は人材を集めやすい

一方で、中小規模の事業所は採用活動に苦戦しやすい

という状況が生まれることもあります。

これは一つの事業所だけの問題ではなく、地域の介護・福祉サービスにも影響する課題と言えるでしょう。

求職者の方へ伝えたいこと

転職を考えている方は、応募方法によって結果が変わる場合があることも知っておいていただきたいポイントです。

ハローワークや法人ホームページなどから直接応募する場合、紹介料は発生しません。

一方、人材紹介会社経由では、採用する法人に数十万円から100万円を超える費用が発生するケースもあります。

もちろん紹介会社にはメリットもありますが、応募先によっては採用コストが判断材料の一つになることもあります。

また近年は制度改定などの影響もあり、資格取得支援を以前ほど積極的に行えない法人も増えてきています。

だからこそ、自分に合った応募方法を選ぶことも大切です。

ハローワークの役割はさらに重要に

今回の厚生労働省による支援強化は、事業所だけでなく求職者にとってもメリットのある取り組みと言えるでしょう。

ハローワークは無料で利用できる公的機関です。

求人票の作成支援や求人開拓が充実することで、中小規模の事業所でも採用活動を進めやすくなり、結果として求職者の選択肢が広がる可能性があります。

もちろん、この取り組みだけで人材不足が解決するわけではありません。

しかし、採用コストという大きな課題を少しでも軽減できれば、介護・福祉業界全体にとって前向きな一歩になるのではないでしょうか。

今後も、介護・福祉業界に関する制度やニュースについて、わかりやすく発信していきます。